最も気になる症状は、焦らずにゆっくり・じっくり改善を

2024年04月01日
当院には一番人気である「鍼治療とマッサージを組み合わせたゆったりコース」を初め、合計四つのメニューがあります。詳しくは、ホームページ内にあるコースの内容をごらんいただければと思いますが、短時間以外のコースにおける少なくともマッサージ治療に関しては、全身に対して行うのを基本としています。
しかし実際ここ最近は、その全身マッサージを視野に入れつつ、もう少し範囲を狭めて、とにかく来院された方の最も辛い箇所に集中した形でマッサージを行うケースが増えてきました。
 
例えば、全身の疲労や血行を改善したい場合には、真っ先に全身マッサージをお勧めします。しかしそうではなく、体のある一定の部の凝りや痛み・動かしにくさなどでお困りの方の来院が多いこの頃は、全身に拘るだけではなく、とにかくその最も気になる症状を時間をかけてじっくりと改善することに重点をおいた施術も、来られた方に満足していただけるのだと感じるようになりました。
 
もちろん、訴えられる症状は様々です。「頚から肩にかけてが凝っていて肩の上に鉄板が乗ったようで重く感じ、肩を上げられない」、「朝起きた時腰が痛くてどうにも伸ばせずすぐに起き上がれなくて辛い」といった症状を中心に、関節や手足そのものの不調を訴える方もいらっしゃいます。奥深い所まで硬くなってしまっている場合には鍼治療も行いますが、例えば頚や肩にしても腰にしても、そして膝/股関節/手首などの関節であっても、症状が強いほどその部の筋肉が広範囲にわたり硬くなっていることがほとんどです。そして毎回書かせていただいているように、例え表面の固さが取れたとしても、その奥にあった筋肉の固さが表れてくるので、どの部であっても一定の所まで解すためには、どうしてもそれなりに治療時間を要します。
しかし、頚や肩であれば、それらの部と繋がっている肩甲骨周囲を解すことは欠かせませんし、腰であればお尻や足、そして様々な関節の痛みを取るためには、その関節に繋がっている多くの筋肉の固さを少しずつ取っていくことが必要です。実際、膝関節痛で来られた方に対しいわゆる鼠径部をマッサージしていると、「先生、そこも痛いんですけど」とおっしゃるので、「そうです、膝が痛くてもこういう所も凝っているので解すと楽になりますよ」と説明させていただきます。
そのように、一つ一つの細かい筋肉の固さを粘り強く解していくと、やがて筋肉の緊張が取れ、来院時に感じていた違和感から解放されるのです。治療後に、「来た時より足が軽く挙げやすくなった」、「腰が伸び立ちやすくなった」、「肩の上の重りが取れ胸を張りやすくなった」などのうれしい感想を聞く度に私は、「今日もこの集中型治療をさせていただきよかった」と自身の今後の施術の参考にさせていただいています。
 
短期集中型マッサージは、とくに新規で来られた方に行う場合が多いのですが、2回・3回と通われているうちに、最初の症状は徐々に落ち着いてきます。するとそれまで感じていなかった別の部の不調が気になり始めるという方も少なくありません。これは、ある意味体が全身のバランスを取ろうとするためのごく自然な反応なので、その時は新たに出てきた症状を改善すれば良いのです。メンテナンスをしていくうちに、いつしか全身のバランスが整い、気づけば全身マッサージを気持ち良く受けられるくらいになっているかもしれません。不調を抱えながら日々を過ごすほど辛くもんもんとすることはありません。
最も気になる症状は、「焦らずにゆっくり・じっくり改善する」という、私の大好きな治療法を、是非1度お試しいただければと思います。