そんな中で今回は、ある意味当院の受診方法としては少数派である30代のHさんの話をしたいと思います。
Hさんは、数年程前からのリピーターで、主に左頚から肩そして肩甲骨周囲にかけての症状で来院されています。
定期的にというよりは、ある日突然、「また痛くなってしまったので治療してほしい」
という以来の元に、施術を行う場合がほとんどです。
今から一月程前にも、やく1年振りに電話をいただき、早速左頚から肩を中心とした施術を開始しました。
もう一つのHさんの特徴は、「私は長時間の治療だと疲れてしまうので、鍼治療を
メインとした短いコースでお願いしたいです」ということです。今回の初めての来院
時に症状を伺うと、「今一番辛いのは、朝目が覚めた時なんです。左頚から肩にかけ
てが重痛くてすぐにベッドから起き上がることができません。
しかも、左腕を挙げようと思えば挙げられますが、挙げる度に痛みを感じて、服の脱
ぎ着も辛いです」とおっしゃいました。
左腕への負担を考慮する意味もかねてHさんには右を下にして横向きに
なっていただき、左頚から肩そして肩甲骨周囲に存在していた痛みと固さが強い箇所
に対し、まずは30分程鍼治療を行いました。
初回時は、鍼を打つ度に響きを訴えられるほど、肩の周辺ががちっとしたように凝り
固まっているのが私にも分かりました。
鍼治療後は、同じ部に対して弱めのマッサージを10分程行い、治療を終えました。
「鍼を打ってもらったのにまだ腕が痛い」と言いながらその日帰られたHさんは、
その日の施術の3日後に再び来院されました。「あの後2日程したら、少し腕の痛み
が取れました」そうおっしゃるHさんに対して、その日も初回と同様の形で施術を
行いました。
その後も、「自分でも痛みの原因の一つにスマートフォンの使い過ぎがあると
分かっているのでそれも控えました。良い機会なので、今回こそ自分が納得いく
まで通い続けます」と言いながら、ほとんど治療期間を空けずに短いコースの受診
を繰り返した結果、先日の治療で8回目を迎えました。
「いかがですか?」私は来院時にかならずそうお聞きしてから治療を開始する
のですが、施術を重ねるごとに、症状が少しずつ良くなっているのが手に取るよう
に分かります。
「最近は本当に良いです。朝もすっきり素早く起きれるし、左腕の痛みが取れたら
大きく回せるようにもなりました。昼間も以前なら、何をしていても常に頚から
肩の痛みや重怠さが気になって横になってしまうような状態が続いていました。
今はそれも無くなったので、自分のやりたい事に集中できるようになったし、
時間を有効に使えて前よりも充実した日々を過ごしています」
とうれしそうな様子のHさんがそこにいました。
今回のHさんへの施術を通し改めて、体に生じている凝りや痛みを取り除くことは、
それがそのままQOL(生活の質)の向上に繋がるのだということ、そしてそれを、
鍼治療とマッサージによって取り戻せるのだということを再確認させていただきました。