「看護師として働かれている方の来院数が多い」というのは、開業以来続いている当院の特徴の一つです。
仕事上負担がかかりやすい場所なのか、その多くの方が同じように訴えるのが「腰からお尻にかけての痛み」です。
先日初めて来院された70台のBさんも、その一人です。
「若い頃から体に痛みを感じた事なんてなかったのですが、昨年身内に不幸が続いた事がきっかけで腰からお尻にかけての痛みが始まりました。それまでも時々腰痛になることはあったのですが、痛い所に湿布を貼ったりしていれば2日程で直っていたんです。それが今回に限ってはいつまでたっても痛みが取れず、気づいたら医者に処方してもらう痛み止めの薬も強い物でないと効かないくらいになってしまっていたところ、たまたま職場の同僚が一度鍼治療を試してみたらとこちらを進めてくれました」。
そう言いながらBさんは、腰のウェストラインからお尻にかけて生じている痛い箇所を摩り「特に座った状態から立ち上がる時が一番辛いです」と教えてくれました。
初診の方への対応として最近私が心がけているのが「来院された方の意見を聞いた上での治療法の選択」です。
分かりやすくいうと一方的にこちらが当院の治療コースを指定するだけではなく、鍼治療とマッサージのそれぞれの特徴や効果を施術前にお伝えし、その後患者さんが納得される治療をさせていただくことにしています。
ところがBさんの場合は、その説明をする間もなく「とにかく鍼をどれだけ受けても良いからこの腰とお尻の痛みをしっかり取ってほしい」という強い要望があったので、早速うつ伏せになっていただき、腰からお尻に対する鍼治療を開始しました。
特に、左右共にお尻の外側で比較的股関節に近い部の筋肉の固さが目立っていたので、そこに対してはより時間をかけ鍼をたくさん打たせていただきました。
硬い箇所を指で確かめそこに鍼を打ち進めていくと所々奥深い所でびきんという、いわゆる筋肉が緩む反応が感じられました。
筋緊張が強い箇所に対して次々と鍼治療を続けているとBさんから「先生に押される度に自分が思っていた以上に凝っている箇所が多い事に気づきました」という答が返ってきました。
その後、鍼を打った箇所へのマッサージを行っていると「さっきより押されても痛みを感じなくなりました」とBさんがおっしゃったのでわたしは「多くの痛みの原因は、その部の筋肉が凝っているために起こっている現象なので、痛く無くなったということはそれだけ初めにあった凝りが解れた証拠です。
筋肉の固さを取ることによって痛みは改善されるのです」とお伝えいたしました。
施術を終えると「来た時よりも腰が伸びるようになりました」と言いながらその日帰られたBさんは、その後も定期的に来院されています。
前回の施術のさいも「初めて来た時に比べると、少しずつ痛みの性質が皮ってきている気がしますし、何よりも良くなるかもしれないという希望が持ててきた感じがします」とのうれしい感想をいただきました。
「私は60歳まで総合病院で看護師を勤め上げ、その後新たに訪問看護ステーションを立ち上げて、今はそこで働いています。看護師というのはとてもやりがいのある仕事なのでもう少し元気で働きたいと思っています。これからも引き続きメンテナンスをよろしくお願いいたします」とおっしゃったBさんの前向きな生き方に改めて「すてきだな」と感じながらBさんへの治療を続けているこの頃です。