首や肩の凝り、あるいは腰痛改善の目的で施術を行う事が多い当院ですが、最近はそれらの症状に加えて、不眠や胃の不調といった悩みを訴える方が増えてきました。
月1ペースで来院されている50代のYさんもその一人です。
パソコンを使ってのデスクワークをされているYさんに対しては、基本的に首から肩にかけての鍼治療とマッサージを中心とした治療を行っています。
前回の施術でマッサージに入ると、Yさんは次のように話し始めました。「ここのところ夜もなかなか寝付けず睡眠自体も浅い気がします。実は職場である人との人間関係に悩んでいて、夜横になっても、ついその人に物を言った時の相手の反応とかを考えてしまって気持ち的にも休まらない感じです。しかも、胃の調子もあまり良くなくて食欲もわかずどうしたらよいのかともやもやする毎日です。」
Yさんの話を聞きながら、「確かに周囲でかかわる人とはなるべく良好な関係でいたいのは皆同じだな」と思いましたが、それでも私はYさんのことを考え、思い切って次のようにアドバイスさせていただきました。
「気持ちはよく分かります。でも、Yさんの考えを相手の方に言った時、必ずしもあなたが想像していたとおりの反応が相手から返ってくるとは限らないのではないでしょうか。もしかしたら、Yさんが全く予想していなかった答が返ってくるかもしれません。相手の答を聞いてからその後の事は考えようくらいに気持ちを割り切って、よし寝ようというモードになることができさえすれば、少しは気持ちが楽になるのではないかと思います。それに心身は繋がっているので、色々と考えすぎることが胃の消化不良にも繋がっている気がします。」
その日は、胃腸の働きを改善する目的で、いつも以上に背中に対しても時間をかけマッサージをさせていただきました。
とはいえ、考え方を変えるというのはもちろん容易なことではありません。
そこでお勧めしたいのが「体を動かす事」です。
気合いを入れて本格的な運動をするというのではありません。
身の回りの片付けをしたり、埃が目に着く所の掃除をしたり、それから気候も良くなったので、散歩程度に屋外を軽くウォーキングするのもよいかもしれません。
そうして体を動かしていると、身体だけでなく、脳内を流れる血液の循環が良くなり、いつしか「それほどたいしたことではないか」と気持ちが軽くなった自分に気づけるはずです。
なんといっても体を動かす事は、「全身の凝り」を防ぐ「セルフケア」として最も有効な方法です。
そしてそれが、快適な睡眠とおいしい食事に繋がっていきます。
「結局動かなくちゃだめか」と思っているそこのあなた。
素直に行動を起こせる人が、結果的には健康な心身を手に入れられるのではないかと思っています。