「松本市に住むことが決まった時からホームページを見て絶対ここに来ようと決めていました」と、昨年末に関西から引っ越されて来た40代のNさんが初めて来院されたのは、今から半月ほど前の事です。
「若い頃から肩凝りと頭痛を感じていました。実は関西にいた時も定期的にお気に入りの鍼灸院に通いメンテナンスを受けていたんです。
鍼を受けていると凝りが楽になるだけではなくて、私にとっては元々あるアトピー性の皮膚症状も緩和されている感じがしています。忙しくてなかなかこちらに来られなかったのですが、最近になり頭痛と頚から肩にかけての全体が詰まったような感じの症状がどうにも辛くなってしまいました」というのがNさんの訴えでした。
「頚や肩」というのは、ある意味凝りやすい箇所の定番ですが、それらが全身に占める面積は、皆さんが思う以上に広いのです。
例えば頚であれば、頚椎のすぐ際に始まり、耳の下側そして顎下部分も頚としての施術部位に含まれます。
肩も同様です。鎖骨のすぐ上部分から肩先にかけて、そして背中側では肩甲骨近くまでの範囲がそれに当たります。
早速Nさんに対しては、最も固さの強かった肩への鍼治療から開始しました。
鍼を打つ前に「一番硬い所はどこだろう」との思いで、いわば全体が凝り固まってしまった筋肉をかき分けるようにしながら両肩を細かく触察していくと、まるで板のように硬くなっているポイントを発見しました。
したがって鍼治療の突破口として、まずはその板状になってしまった凝りを奥から砕くような気持ちで、「1本の鍼を打っては抜くというのを繰り返しながら集中的に筋肉を解す」という、私ならではの「1押し治療」をさせていただきました。
「もし痛かったり変な感覚があったら遠慮なくおっしゃってくださいね」とお伝えするとNさんは、「分かりました」とおっしゃっただけで、その後は静かに施術を受けられていました。
そうして、「1本鍼集中治療」を固さの強い箇所に繰り返した結果、やがて板状になっていた筋肉は少しずつ本来の柔軟性を取り戻していきました。
肩の次は頭痛を取る目的で、左右の高等部の付け根に存在していた筋緊張部に対しても、肩と同じように鍼治療を行いました。
「鍼の刺激感は強すぎませんでしたか?」と改めて尋ねるとNさんからは、「はい、ぼおっとした気分で受けていました」との返事が返ってきました。
その後は、鍼治療を行った部に重点を置きながら、上半身に対するマッサージをさせていただき、その日野治療を終了しました。
先日2度目の施術に凝られたNさんに前回の治療後の様子を伺うと、「実は施術を受けた直後はあまり効果を感じなかったのですが、次の日そしてまた次の日
と日日が少し立つにつれて肩の凝りが溶けていくような感じで楽になっていることに気づきました、頭痛も抜けました」という答が返ってきました。
この日も初診時と同じように、鍼とマッサージの治療を味わうようにお静かにそして気持ち良さそうに受けられていたNさんを見て、「この方は凝りその物を改善する事に加えて、ここでの一時をいわゆる心のリフレッシュにも当てていらっしゃるのだ」という事に気づきました。
体と心は繋がっています。
今後も来院された多くの方々の心身を休め、元気になっていただける施術を心がけていきたいと思っています。