今月は、長年当院に通われている看護師のCさんの紹介で、職場の同僚の方が何人かお見えになりました。
先日初めて来院された40代のSさんも、その一人です。
Sさんの訴えは次のようなものでした。
「3年程前に頸椎ヘルニアを発症し、その時は整形外科でのブロック注射などで症状は改善したのですが、なぜか最近になりまたその時のような辛さが出てきてしまいました。
今は、頸から左肩にかけての凝りと左手指先の痺れが常に気になります。あまりの辛さに仕事にも集中できないし、夜も左を下にした横向きでは左腕が痛くて熟睡できず困っています。」
早速ベッドに座っていただき訴えのあった箇所を触察すると、「痛すぎて前後に倒せないし、へんな言い方ですが、できることなら一旦頭を取ってどこかに置いておきたいくらい辛いです」との訴えがあった頸を中心に、左肩から腕全体がぱんぱんに張っているのが分かりました。
頸と同様左腕の付け根に存在していた固い箇所を押すと、「その部の奥側もえぐれるように痛くて」ともおっしゃったので、迷うこと無く鍼治療をお勧めしました。
するとSさんは、「以前にリンパマッサージを受けた事があるのですが、受けたその時は良くてもまたすぐに元の状態に戻ってしまいました」と言いながら、快く鍼治療に応じてくださいました。
固くなっている筋肉に鍼を打つため、凝っている箇所に鍼先が当たると少なからずその部の筋肉が緩むような刺激が生じます。
これは、ある意味鍼治療ならではの感覚と言ってもよいでしょう。そしてその感じ方は人によって様々です。
Sさんはというと、「思っていたほど痛くは無いし、とても効いてる感があって良いですね」という感想をお持ちだったので、特に固さと痛みが強かった頸と左腕の付け根に対しては、やや多めに鍼を打ちました。
そしてその後は、同様に固さの見られた肩甲骨周囲を中心とした背中も含めて、頸から順に左手の指先までのマッサージを行いました。
マッサージをしながら、どの部も奥深い筋肉の固さが比較的取れていることが分かり、鍼治療に時間をかけたことは間違いではなかったと改めて思いました。
施術を終えると、「来た時よりもだいぶ左腕全体が軽くなりましたし、今は手先の痺れも感じません。それに治療を受けながら、自分が思っていた以上にいろいろな所が凝っていることに気付き驚きました」とおっしゃる、すっきりした様子のSさんがそこにいました。
さらに帰られる間際の、「どうにかしたいけれど奥すぎて自分の手ではどうにもならない所の痛みに鍼治療が効くのだということがよく分かりました」と言うSさんの言葉がとても印象に残りました。
その瞬間、まさに私が多くの方にお伝えしたい「鍼治療の良さ」をSさんに代弁してもらった気がして、うれしい気持ちでいっぱいになりました。
「痺れ」という症状の原因の一つとして、それを感じる周囲に存在する筋肉が固くなり神経を刺激していることが上げられます。
したがってSさんのように、頸や肩・腕の筋肉の固さを取り除くことにより、痺れを改善できる可能性があります。
気になる方は、1度鍼治療やマッサージをお試しいただくのも良いかもしれません。