今月に入り、新規の来院者が多くなってきました。
中でも目立つのが、「頚凝りと頭痛」です。
50代のTさんもその一人です。
1年ほど前から感じ始め、「心配になったので脳神経外科に行くと筋緊張性頭痛だと言われ薬を処方してもらいました。
しばらくの間それを飲んでいたのですが、今も症状は良くなりません。
普段職場で猫背の状態で仕事をし続けたり、スマホを長時間見てしまうのがいけないのだと思いますが、薬を飲まずに改善できれば」とTさん。
特に夕方になると、症状が両肩から腕にまで広がってきて辛いということも分かりました。
鍼治療は初めてだとおっしゃったTさんに対して、「指が届かない奥深い所の固さを取るのに適している」鍼の良さについて説明させていただき、早速頚への鍼治療を開始しました。
これまでにも何度か書かせていただいていますが、とにかく頭痛でお困りの方の多くが頚・特に頭蓋骨の付け根部分が石のようにがちがちに硬くなっています。
実は頚の筋肉というのはその一部が後頭部の付け根にくっついているため、その付着部の筋肉が硬くなると頭痛を生じます。
マッサージだけでは解しきれないくらいに凝ってしまった固さを取るには、やはり鍼治療がとても有効です。
実際Tさんの場合も、始めは中に何かが詰まっているような固さだった頚の筋肉も、後頭部の付け根の所に重点をおきながらゆっくりと鍼刺激を続けると、奥の筋肉から少しずつ解れていくのが鍼先の感覚からも分かりました。
奥の固さが取れた後は、鍼治療を行った部に時間をかけながら、頚から肩・腕に対するマッサージを行いました。
マッサージを終える頃には、頭蓋骨の付け根は指が入るくらいにまで軟らかくなっていました。
先日2度目の来院時に伺うと、「前回の治療以来ほとんど頭痛を感じていません、こんなに鍼が効くのだったらもっと早く受ければよかったです」とうれしい感想をいただきました。
一方、保健師をされている30代のSさんは、半年ほど前から頚凝りと頭痛に悩み、やはり頭痛薬を飲み続けていたようですが、2ヶ月ほど前からコロナワクチンの関係で半月ほど休み無しで仕事をしなければならず、「体のスイッチがオフにならなくなってしまった感じ」と辛そうな様子で来院されました。
Sさんも鍼治療は初めてでした。
Tさんと同様、後頭部の付け根の部を中心に、頚全体に加えて肩凝りもあったので、肩への鍼治療も行いました。
「所々、じわあんとした感じがします」とSさん。
やはり、固さが強い所に鍼先が当たると、いわゆる「効いてる」と思えるような鍼の響きを生じます。
「これはある意味、鍼治療によってその部の筋肉が解れているサインなので何の心配もいりませんよ」
そう説明させていただきました。
「本当に鍼はすごい」と私自身いつも思うのですが、マッサージを終える頃にはSさんの頚や肩も、がちっとした固さが取れ、ふわふわしたような健康な筋肉の状態になりました。
「頚や肩が大分軟らかくなったので、これでしばらく頭痛も起こらないと思いま
すよ」
そうお伝えすると、Sさんはすっきりした様子でうれしそうに帰っていきました。
このように、頚から頭にかけてが詰まったようなあるいは周囲から何かで締め付けられているような漢字の頭痛であれば、鍼治療やマッサージにより改善することができます。
薬を飲んでも症状が治らないという方は、是非1度鍼治療を体験してみてはいかがでしょうか。