今回は、週に1度のペースでお越し頂いている、70代のEさんのお話しです。
「いつものようにお願いします」。先日もそう言ってベッドに横になったEさんに対して、早速全身90分のマッサージを開始しました。
その日の来院で、初診からの施術回数が15回を超えていることに気付き、なんだかんだいいながら、時の速さを感じているこの頃の私です。
今では全身の筋肉が大分柔らかくなったEさんですが、初めて来院された時は、とても辛そうな様子で、
「実は今までは他の治療院に通っていたのですが、そこは一部屋に何台もベッドが置いてあって、若い男の先生が次々とベッド上の患者さんに対して機械的に施術を行っていくところだったんです。
そのやり方がいまいち私の性に合わないなと思っていたら、息子がこちらをインターネットで探し、1度行ってみてはどうかと進めてくれたんです」と話してくださいました。
農家に嫁ぎ、これまで50年近く家事や子育てを始め、外仕事・そして、
「昨年は介護していた90代のお姑さんが亡くなり、なんだかそれ依頼ある意味気が抜けてしまったところもあるのかもと思います」とおっしゃるEさんを思うと、今まで一生懸命がんばってこられた様子がうかがえました。
「右腕が90度より上に上げられない」、「両足全体が痛くて膝を曲げてしゃがみ込むことができない」、「肩から背中にかけて大きな鉄板が乗っているような感じがして辛い」など、症状は全身に及んでいましたが、訴えのあった箇所を一つ一つじっくりと時間をかけてマッサージしていくと、回数を重ねるごとにどの部も少しずつ固さが取れていくのが分かりました。
自然が豊富な自宅周囲の様子や蜂の駆除方法・庭木の剪定術など、「昔からこうしたいと思うとじっとしていられない性格で、疲れていても体を張ってついやってしまうんです」と笑いながら、農家ならではの様々な話をお聞きしながら施術していると、毎回あっという間に時間が過ぎていきます。
最近は、「体が楽になったせいか、以前より食欲も増したみたいだし夜もよく眠れますよ」と言うEさんを見て、やはりマッサージは体調監理にとても有効な治療法なのだと改めて感じました。
今の世の中の動きとして、どうしてもコロナ関連や水害などつい暗い話題にもなりがちですが、治療後に必ずおっしゃる、
「体が動くということは本当にありがたい」と言うEさんの言葉に、私もうれしい気持ちでいっぱいになります。
「母から譲り受けた着物がたくさんあるので、いずれはそれを着てお茶を点てたり、農閑期には手仕事も好きなので縫い物もしたい、まだまだやりたい事はたくさんあるんです」とEさん。
これからも、そんなEさんの元気を保つお手伝いができるようがんばっていきたいと思います。