50代のFさんが当院に初めて来られたのは、今年3月始めのことでした。
「デスクワークをしているせいか、とにかく頚から肩・背中にかけての全体が痛くてしかたないんです」。
そう言いながらベッドに横になったFさんに対して私は、辛さを訴えられた箇所に重点をおきながら、
全身をじっくりとマッサージさせていただきました。
私が症状やその辛さについてお聞きする以外は、基本的に無口な状態でじっと施術を
受けられていたFさんの雰囲気からも、「よほど疲れが貯まっているのかあるいは具合が悪いのかもしれない」
ということがひしひしと伝わってきました。
施術を終えると、多少全身が柔らかくなったのを私は感じましたが、Fさん自身は、
治療を終えてもなおお疲れを引きづったようなぼおっとした様子でその日は帰られました。
それ以降は、肩や背中だけで無く、腰の痛み・立ち上がり時の右足付け根部分の
痛み・両腕の怠さ・頭痛など、日によって訴えは様々でしたが、そうして辛い箇所を
中心に時には鍼も加えながら念入りに治療を進めると、少しずつどの症状も改善されていくのが分かりました。
2週に1度のペースで施術を行い続けて5度目の日に改めて体調を伺うと、
「始めの1週間は良いのですがその後はもうだめだという気になってしまいます」
と憂鬱そうな返事が返ってきたので、それ以降は思い切って毎週通っていただくことにしました。
つい2・3日前には、初診から数えて10度目の治療を行いました。
いつものように頚や肩など上半身へのマッサージをしていると、Fさんが話し始めました。
「毎週治療を受けるようになってから、だいぶ体が楽になってきたのを感じます。
ここにきはじめの頃は、肩や背中の凝りが酷かったしとにかく全身の疲れが半端じゃ無くて、
常に怠さもありました。仕事が休みの日などは1日中寝ている状態でした。
それが最近は、土日であってもある程度寝たらその後は以前より何かしようかなという気になってきたんです。
職場でも特に疲れが溜まる週末ともなると、あまり人と話す気になれなかったのにここのところ
我ながら前よりもおしゃべりしている自分に驚いたりして。お陰様で体の怠さもだいぶ無くなりました。
怠さというのは寝続けたからといって取れる物では無いのですね」。
さらに夜中の途中覚醒も無くなった、腰痛が改善され長時間仰向けでも寝られるようになったなど、
うれしいコメントをいくつもいただきました。
そしてその時私も、「確かに今日も来院されたさいに特にどこかがものすごく痛いとはおっしゃっていなかった」
ことを思い出しました。
このように、マッサージや鍼というのは体の痛みや凝りだけで無く、全身の怠さを改善したり、
「やる気・元気」といった前向きなエネルギーを取り戻すのにも有効な治療法なのです。
Fさんにはもうしばらく週1治療を継続したいと思っています。
暑い日が続きますが、皆様どうか熱中症にはくれぐれも気をつけてお過ごしください。
なお当院は、11日より16日までお盆休みをいただきます。
ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。