「夜中に急に頚が痛くなって目が覚めて、それから眠れなくなってしまったんです。頭痛と吐き気も強かったので思わず痛み止めの薬を飲んでからお風呂に入り、湯船で痛む箇所をマッサージしていたのですがどうにも辛くて」
そのような訴えで、先日、朝早くに電話をいただき、20代のKさんが来院されました。
ベッドに座っていただき訴えのあった箇所を触察すると、頭痛の原因と思われる後頭部の付け根から頚全体に渡り、多くの筋肉ががちがちに硬くなっているのが分かりました。
「頚をどの方向に動かそうにも痛くてたまりません」とKさんの思いが切実だったので、早速うつ伏せになっていただき、頚への鍼治療を始めました。
登院に来られて3度目のことです。
前回まではどちらかというと肩凝りを強く訴えていたため、頚への施術はあまり行っていませんでしたが、おそらく肩がある程度解れたことにより目立ち始めた症状のようにも思いました。
その日は迷うことなく頚に対して多めの鍼治療と、その後は肩や背中も含めて強揉みになりすぎないようゆっくりと時間をかけてのマッサージを行いました。
どこが痛くても辛いものですが、中でも頭痛は我慢できない症状の一つです。頭痛が起こった時は多くの方が薬を飲み、その後しばらく横になっているより他は無いと言います。
Kさんの場合もその頭痛を一番に取り除きたい思いで、左右の後頭部の付け根のがちっと硬くなっている箇所に対しては、特に時間をかけて治療を行いました。
私は、「後頭部の奥深い所の筋肉の固さを取らないかぎり、頭痛を根本から改善するのは難しい」と考えています。
「とにかくどうにかしてほしい」との思いが強かったのか、ほとんど何も言わずに治療を受けていたKさんの姿が印象に残りました。
それでも、マッサージを終える頃には、こだわって施術を行った後頭部の付け根を始め頚あるいは肩など、その周囲をかなり柔らかくすることができました。
「来た時より全然軽いし頚を動かしても痛みが無くなりました」と言いながらKさんは帰っていきました。
やはり頚凝りにも鍼治療は最適です。
そして頚の硬さを取り除くことにより、頭の痛みも改善される場合が多いことも覚えておいていただければと思います。